GID(性同一)とは
簡単に言うと
女性なのに
自分は「本当は男なんだ、男として生きるのがふさわしい」と考えたり
男性なのに
「本当は女として生きるべきだ」と確信する現象を
「性同一性障害(gender identity disorder, GID)」と呼びます。
このような性別の不一致感から悩んだり、落ち込んだり、気持ちが不安定になることもあります。
そういったGIDはトランスジェンダーといいます。
FTM(Female to Maleの略)身体的には女性であるが性自認が男性
MTF(Male to Femaleの略)身体的には男性であるが性自認が女性
このように呼ばれることもあります。
性別を考える2つの側面
性別といえば、男性か女性の2種類に分かれると多くの人たちは単純に考えます。
しかし、性別には生物学的な性別(sex)と、自分の性別をどのように意識するのかという2つの側面があります。
性別の自己意識あるいは自己認知をジェンダー・アイデンティティ(gender identity)といいます。
多くの場合は生物学的性別と自らの性別に対する認知であるジェンダー・アイデンティティは一致しているため、性別にこのような2つの側面があることには気づきません。
しかし、一部の人ではこの両者が一致しない場合があるのです。
そのような場合を「性同一性障害」といいます。
つまり、性同一性障害とは、「生物学的性別(sex)と性別に対する自己意識あるいは自己認知(gender identity)が一致しない状態である」ということです。
性同一性障害と同性愛、服装倒錯症の違い
性同一性障害は、同性愛と混同して考えられることが少なくありませんが、両者はまったく別のことです。
性同一性障害は、自らの性別に関するジェンダー・アイデンティティの問題です。
一方、同性愛は性対象として同性の相手を選ぶことを意味しています。したがって、性同一性障害を有する人の中には、異性愛の人もいれば同性愛、あるいは両性愛の人もいます。
性同一性障害では反対の性別の服装をしたり、装飾品を身につける「異性装(服装倒錯症)」がみられます。
しかし、異性装をするからといって、性同一性障害とは言えません。
自分の性別とは反対の服装をする人たちは昔から知られており、一般に異性装と呼ばれていました。異性装をする人達を学術的に服装倒錯症(transvestism)と呼ぶようになりましたが、その後、異性装によって性的快楽を得る人の他に、自らの生物学的性別とは異なるジェンダーを有する人が、反対の性別の服装を身にまとおうとすることが明らかになりました。
このように、異性装をする人たちの中には、性的快感を得るための場合と、反対の性別に帰属することを求める場合があります。性同一性障害では、性的快感を求めるためではなく、自らのジェンダーに合った服装をすることを願うために異性装をします。